べたついて気持ち悪い作業服は着替えた。(結局、ヤガラに乗っているだけでは乾かんかった)
ぐしょぐしょの靴も、換えた。(代わりを用意しといてよかったわい)
髪は乾いた。(短いからの)
なのに、なんでまだ気持ち悪いんじゃ。(もやもやすると言うか、食道になにかあるかのような、そんな感じは)
「カク!」
いつものように呼ばれた。だから、いつものような顔を作った。内側の不快感など微塵も見せないような、そんな顔を。(いや、実際気分が晴れたのかもしれん)
「なんじゃ、そんな大きな声出さんでも聞こえるわい」
「見たぜ!」
まさに今頭上に登っているような太陽のように能天気に笑うパウリー。まったく、こいつの会話には時々主語がなくて困る。にやにやと笑いながらパウリーは肩に腕を回してきた。(まったく、気持ち悪いぞ)
暑苦しい、と腕から逃げると、まあまあ、と嗜められるように言われて、それがしゃくに障った。
「何を」
「お前も隅に置けねえなあ」
「だから、何がなんじゃ?」
『いつの間に女なんか作ったんだっぽー』
ぬっ、と背後から抜き出た黒い影。びっくりするわ!(お前のその発言も、登場も!)パウリーもルッチの登場に同様に驚いた表情をしていたが、その発言の内容に再びにやにやしだした。(気持ち悪いわい)
「はあ?」
「とぼけんなよ、今日ヤガラでデートしてたじゃねえか!午後出勤なのはその所為か?」
『下世話だっぽー。・・・で、いつそんな女なんて作った?』
「女なんて(今は)居らんわい」
それは間違いのない事実だ。メアリとは3ヶ月前に別れて、ユキは去年の終わりに、リリは、なんて思い出していくとキリがないわい。どっかの鳩さんと違って、わしは堅実じゃがそれでも思い出すのはめんどうであった。
「往生際が悪ぃなあ、山風のくせに。青いワンピースを着て、白い帽子被って、楚々としたかんじの!可愛い子!顔見えなかったけど!」
給 仕 (あ い つ) か 。
わしはなるべく顔には出さず、笑ってごまかす事に決めた。(この時ばかりは感情を表に出さないための訓練をさせた政府に感謝じゃ)
「誤解じゃ、その人は・・・」
まった、わしが足を踏み外したとか、そんな件(くだり)を説明するのはこの上ない屈辱じゃ!確実にひと月近くはねちっこく言われる。そんなのは嫌じゃ!(わしのプライドが我慢ならん!)
「その人は?」
「・・・この辺の道が分からんと言うから、案内してやっただけじゃ」
「なーんだ!つまんねぇの!」
そう言うと、パウリーは船大工たちの所へ駆けて行った。(『なー、違うんだとー!つまんねぇー!』『だから言ったじゃねえか、カクは独占欲強いから彼女をここに連れてこねえよ』『ちっ、後ろから見た感じじゃ、それっぽかったんだけどな』・・・お前、何適当な事を言いふらしておるんじゃ)
『・・・道案内にしては』
「うおっ、な、なんじゃルッチ、まだ居ったんか」
『随分と嬉しそうに見送ってなかったか、カク?』
ル、ルッチが笑った!
にやり、と嫌味ったらしく。だが、ルッチに最も似合う笑い方で、わしを一瞥して、本社の方へと向かって行った。・・・嬉しそうとか、そんなわけないじゃろ!そんなわけ!
給仕の訪問
(ガレーラ、本社どれだろ?・・・ごはん食べてからでいっか)
(08.08.21)
いつのまに3ヶ月もorz いかん、カクが掴めとらんぞ!