「ガレーラって案外暇ですよねぇ・・・」

からしみじみと吐き出された言葉に、カクもルッチもパウリーもただただ苦笑するしかなかった。



「暇っていうより、楽しい事に関しての労力って惜しみませんよね」

自分の言い回しに合点がいったように、先ほどよりも自信があるようにいう。
商店街を歩くと何度も声をかけられる。大人からも、子供からも。いつもより数段賑やかなで活気のあるこの街は、オレンジと黒を基調とした色であふれ、いつもと違った服装に人々からは笑顔が零れる。
今日はウォーターセブンのハロウィンフェスティバル!
「でも、楽しい事はあった方がいいじゃろ?」
「それはもちろん!このフェスティバルは街の人達も楽しみにしているし」
『そういえばは去年まではあちら側だったな』
「そうです。まあ、私もバイトとかで楽しむ暇なんてちっともなかったんですけど」
「じゃあ今年はよかったじゃねェか、役得ってやつじゃねえ?」
「そうですねー。こういう仮装もできて、楽しいです」
は自分の格好を見やりつつ、嬉しそうに楽しそうに笑う。彼女が着ているのはいつもの黒いツナギにハンチングではなく、黄緑色の服。短いズボンに、腰には短剣までさしている。その姿はまるで絵本から出てきたようなピーターパン。カクもルッチもパウリーも、全員がいつもの作業服とは違う服に身を包んでいる。カクは首から下から腰までを包帯で包まれ、ミイラ男。ルッチは黒のタキシード、揃いのマントにシルクハットで吸血鬼伯爵(ご丁寧にハットリまでもだ!)。パウリーはふさふさの耳と尻尾に、少しよれよれとした服、狼男。
「しょっくちょーうさーんたちー!!お仕事ごくろうさまー!」
「キャー!ルッチさーん!」
「カクさん素敵―!!」
「パウリーさんカワイイー!!」
「おっ、職長さんたち似合ってるね〜!」
くーん、こっち向いてー!」
黄色い悲鳴も混じった街の人達の声に答えるように、4人は手を振ったりしてみせる。
くんじゃと、
『ポッポー、モテるな、くん』
笑いを堪えてカクとルッチはに向かって言う。意地が悪い、と口では言わずともは目で訴えた。ルッチとハットリはつい、と目を逸らし、カクは手で顔を隠して笑いをかみ殺しつつ、の頭をごまかすように撫でた。
「おい、お前ェら何やってんだ。もうちょっとで広場に着くぞ」
ブルの手綱を取っていた何も知らないパウリーが、広場を指差す。広場にはもう既に、仮装をしたたくさんの子供達が集まっていて、今か今かとこのブルを待ち構えている。
「こりゃまた、骨が折れそうじゃの」
『明日無事に出社できればいいな、ッポポー』
「広場に着いたらお菓子もって逃げればいいんですよね?」
「おう。お前は本社、カクが噴水の方、ルッチが裏町、俺が造船島の方」
三者三様に返事をして、お菓子がたくさん入った袋を担ぐ。ブルはどんどんと可愛らしい小悪魔達に近づいていく。こういう仕事を考えつくアイスバーグに、は改めて敬意を払った。
「さァて、行くぜ!」

ブルから飛び降りて、走り出す! さあ、ハロウィンの始まりだ!






P A R T Y ! p a r t y ! F E S T I V A L !





おまけ  (06.12.26)